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しそうとしてのぶんがく
思想としての文学
戸坂 潤
「思想としての文学」三笠書房、1936(昭和11)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,809 字 · 408 页
二
だが世界観の実質からいうと、之はこうした諸意識形態の底に横たわる最後の鍵でも何でもない。単に、意識形態のあらゆる展開の段階の随処に横たわると考えられる夫々の具体的な規定を、一括して形式的に取り出した、割合便宜的な一つの根本概念にしか過ぎない。だから世界観それ自身だけを問題にしていては本当は何の説明も之に加えることが出来ないのである。実際だから又、口を開けば世界観世界観と叫びたがる人間は、世界観という概念を少しも批判的に理解してはいない。そのために、時々世界観という言葉は勝手なことを述べたてるのに至極便利な言葉とさえなれるのである。
二
世界観は決して単なる直接や所与ではない。一体直観というもの自身が、決して単なる所与や直接でないことを注意しなければならない。直観に就いての本当に唯物論的な概念は、吾々が持つどの直観もすでに概念の媒介を経たという歴史を持っている、という点に何よりもの重点を置く。概念と直観とを単純に対立させるだけなら、云うまでもなく直観は概念に対しては直接な所与の地位に位置する。けれどもそういう直観も、実はこの時以前の概念からの一つの歴史的結果の外の何ものでもないということが大事だ。