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しそうとしてのぶんがく
思想としての文学
戸坂 潤
「思想としての文学」三笠書房、1936(昭和11)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,809 字 · 408 页
旧くモンテスキューが社会に於ける法の本質(精神)に就いて説いたやり方を、文化の精神(本質)にまで押し及ぼしたものが、テーヌの文芸批評だと云っても好いだろう。実証主義の機械論的自然主義は、テーヌに於て、云わば政治地理学主義的自然主義となって現われているのである。
近世の思想史の上で、本当に科学的な世界観として現われたものはマルクス主義的世界観だと云うべきである。一口で云えば、それは、唯物論と弁証法との必然的な結合であり、唯物論を具体的に徹底すると共に弁証法を具体的に徹底したものであることは、広く一般に認められている。処でこの科学的世界観からの時に応じての必然的な結論として批評対象に対する夫々の直接印象が演繹される時、それが本当の科学的批評となる。――この場合科学的批評の方法とするものは唯物史観という方法であり、批評の対象が特に文化形態にぞくする場合には特にイデオロギー論の方法であるが、唯物史観も従って亦イデオロギー論も、弁証法的唯物論と呼ばれる科学的世界観の一部面に他ならないのだから、科学的批評の方法をなすものは結局この弁証法的な唯物論でなくてはならぬ。