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にっき
日記
宮本 百合子
16 一九三〇年(昭和五年)
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 51,117 字 · 103 页
三月二十六日
この方がずっとアイーダよりよろしい。(ただ終りにYの意見によるとつけたらしい、アンティポリスキノ・ベズボージュニク〔反ポーランド無神論者〕、プロレターリア・カラー的のものがある。)Y、オペラだとつまらながって、間に本を読んで居る。Yのほかにそういう女二三人居た。この神経の感じ。Yもその点ではソヴェトスカヤ〔ソビエト女〕だ。
又パッサージへよって見る。又別な男。やっとカレンダーへ名を書き入れてくれた。
三月二十六日 水
今日は目ざましがならなかったところへ教師にやって来られて、Y、まごついた揚句怒った。それで自分も怒って居るところへ、タイプライターを打ったら、どうだこうだですっかりけんかした。Y、帰れ! どこへでも行って暮せ! そんな奴と住んでる必要なんかないんだ。
自分だってそれは同じだ、そう腹を立てた。
夜独りでロシアの所謂ズブコボイ・フィルム〔トーキー〕を見た。ロシアではまだ下手だが、例の写真のうまいところへ音を入れ、五年計画のことなんか、実に感じで打って来るものをつくって居る。これで上手になればしめたものだ。
パッサージが駄目だと閉口故、セレクト〔ホテルの名〕へ行って三谷氏にきいたら、一日前でどの室でもよければあるとのこと。