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にっき

日記

宮本 百合子

16 一九三〇年(昭和五年)

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 51,117 字 · 103 页

青空文庫

六月七日

六月八日

どれでも出してる。「土」でさえ出してる! これは本当の闘争だ。恐しい農村の十月だ。

六月七日 土

洗濯やへものをもって行く。

夜赤衛軍中央会館で「何が彼女をそうさせたか」の試写があるというので、袋さんと三人で出かけた。

フィルム、大してよいと思わぬ。いろいろはっきりせぬ。第一、反抗するまでの心情は筋をたどってあるとしても、それがきわめて組織されず、個人の意趣晴らしに止るところ、現代の日本のプロレタリアの反抗精神とは違う。テクニックもよくない。同じ場面のくりかえし多し。

ソヴェートでは曲芸の極めて非衛生的なものをやめさせる必要がある。例えば歯で人間一人つり上げたりする芸当。美しくもないし、健康でもない、ただ人間のブルータルなところを写してるだけだ。

キノの後、ブッフェで御馳走になり、あとパークを散歩して、野外劇場で曲芸みたいなものをみた。フィジクリトーラと称す。

六月八日 日

○今日どこをさがしてもアルコールはなし。

○ラフカの爺、この頃アホートヌイがなくなったので買い手が殖え、よろこんで笑顔しつつ売ってる。

ハム二百瓦二・四〇の中、六十哥が税、九十哥が原価であとのあまりでそうして食いのめるか? だってさ。