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にっき

日記

宮本 百合子

16 一九三〇年(昭和五年)

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 51,117 字 · 103 页

青空文庫

五月九日

五月十日

五月九日 金

Y昨夜よく眠れないと云って朝ぶらぶら。したがって自分の方もプレは出来ず。『改造』をよみ、日本の文壇の変遷に或興味を覚えた。

オリガさんと室を見にゆく。いわゆるパザールヌイ〔下品な〕、コミッショネール〔ブローカー〕で、迚もものにならず。然しその住居、人間がどんなごたごたの中で暮せるかと云う見本を見て来た。家具らしいものなし。布のかたまりや台や、そんなもので室じゅう一杯だ。西洋の家は壁がしっかりしてる。だから猶きれの包のぶくぶくしたのなど目立つ。

○夜馬鹿らしいことで怒って、Y、自分の目鏡をすっかりこわした。

五月十日 土

朝、Yのおできの手入れ。それから机の上掃除。即ち、おできが大分楽になった証拠なり。

ルケアーノフへゆく。ダーチャー〔別荘〕のことは見込みなし。雨が降って来る。フラムフリスタの公園はもうすっかり青い。かえり、レモンを買い。自分、目がねなしにまだなれずに工合変だ。しかしめがねのないのもよいと思う。顔の前に常にいたわるものかけて居るのは、けんかのとき弱くて仕方がない。

『改造』をよむ。日本勉強なり。村山知義よくなった。そしてイデオロギー的に或清算した後見ゆ。