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にっき

日記

宮本 百合子

16 一九三〇年(昭和五年)

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 51,117 字 · 103 页

青空文庫

八月三日

八月四日

外見堂々たり。ひどい便所だ。ウクライナ人とはきれいずきと思ったが。

食堂に坐ってると、何だかロシアの内ではない、近所の小さい独立国の首府に来て居るような感じがした。ウクライナ人と云うのは郷土心がつよい。これはよし、わるし。ここには背広をきた人間が多い。女がしゃれている。

八月三日 日

ハリコフ。一日。

インツーリストへ行ったらプロッカルトのことは出来るという。ВОКС へ行ったら、今ハリコフは夏休みで、どこの博物館もレモント〔修理中〕だし見るものはない。キエフへ行けという。それでもここでおち合った美術家(エキスペリメンタリヌイ劇場の)がいろいろ話しをし、オペラの新しき試み等、面白かった。ウクライナの版画を見たいといったら、ベルリンかどっかに送ったのこりを見せてくれた。猶太人の画面白い。

ハリコフ八時十分出発。インツーリスト奴、ワゴンリーにのせやがった。ドイツの技師と同乗、ひどいフランス語が役に立った。フランスの戦いで、びっこになった男。

八月四日 月

ひる、十二時、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)着。オカ河附近、一昨年の秋南からかえるときはすっかり黄葉して、灰色の空の下に実に美しかった。