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にっき
日記
宮本 百合子
16 一九三〇年(昭和五年)
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 51,117 字 · 103 页
十月二十九日
巡査が若いまっ蒼な顔をした男の腕をとって、後部の車へつれて行った。つれられて行く男は裸足だ。裸足は赤い。プラットフォームには氷がはってる。
○赤い帽子をかぶった駅長が出てきて、落した小包をうけとる。「小さい駅、白樺、雪、黄色く塗った木造ステーション」
○オムスクは西シベリア経済区の中心。
オムスクから二時間ばかりのところにすっかり新しいフレブヴォーズ〔穀物運搬〕のステーションが出来てる。氷滴の下った貨車、聳えるエレバートルの下へ、貨車がキカン車にひかれてゆく。これも新しきシベリア、万歳!
三時半、晴れた西日が野にさし、雪は紫、林は銅色。
汽車の上から見ると、馬の脚は細く、早いあがきで走ってゆく。
十月二十九日 水
○地図を見る。もうモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)は遠い。モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)は地図の上で赤ぼっち、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)と書いてある。モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)。シベリアの野の上を走りつつモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)を考えると、煮え立つ鍋にさわるような感じだ。