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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
吉川英治『柳生月影抄 名作短編集(二)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:柳生月影抄、下頭橋由来、脚、べんがら炬燵、大谷刑部、鬼、春の雁、旗岡巡査、茶漬三略。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 173,309 字 · 352 页
「――見られるよ、牢頭」
「えっ。……ほ、ほんとか」
「ただし、今までのような悪心を持っていては難しいが」
「ああ。そういわれれば、俺はこの獄人の中では愚かな事、どんな悪党のなかへ顔を出しても、負けを取らない強悪な男だからな。落人の追剥、あちゆる戦場稼ぎ、火放け殺人誘拐し――やらない悪事はないくらいだからなあ」
「十悪の兇賊でも、心を改めれば、即座に仏になれると、何とかいう坊さんが説いているよ」
「心を直すには、どうしたらいいのだい」
「悪い事を、悪いと知ればいいのさ」
「それはもう毎日毎日思っているんだが……」
「それならば、きっと助かるに違いない。……そうだな、わしが出てから十八日目にお前さんもきっと、この牢を出るだろうよ」
「十……十八日目?」
「ウむ」
「猿。……気休めをいうのだろう。どうして俺が」
「信じているがいい。だから、それまでの十八日間、牢頭は毎日、天地を拝んで、自分のしてきた罪業を懺悔しなさいよ」
「もいちど、この生命が助かるものなら……ああ俺は、もいちど生き直って、今度は善い事ばかりしたい。……猿、もしかほんとに、世の中へ出られたら、何処かでおめえに、会う事ができるだろうか」