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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

吉川英治『柳生月影抄 名作短編集(二)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:柳生月影抄、下頭橋由来、脚、べんがら炬燵、大谷刑部、鬼、春の雁、旗岡巡査、茶漬三略。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 173,309 字 · 352 页

青空文庫

茶の日

「では――どう召さる心底な?」

「時は、今だと思う」

「今?」

「直江山城が、北国東国に拠って、内府へ加担の軍を、遠く寄せつけているこの秋に、秀頼公の御教書を乞い、西に毛利、島津を起たせ」

「待たれい」

刑部は、三成の語気を、こう鎮めて、

「お身は、山城と、逸早く、脈を引いておられたな。――上杉の挙兵は、お身の策謀か」

と、問いつめた。

三成は、そう問われることを、待っていた。

「そうだ!」

「ふウ……む」

「刑部」

「…………」

「刑部! こう打ち明けたからには、お許にはぜひこの加担をしてもらわねばならぬ」

「打ち明けた者――それは――この刑部と、誰とに」

「安国寺恵瓊」

「安国寺? ……うむ、毛利輝元を引き入れる手びきにな」

「その方は、慥に起つ」

「あぶないものよ」

「いや」

「いや、毛利じゃない。この企て、どう案じても、刑部には、勝目が考えられんのじゃ……。困ったことをやられたの」

刑部の肋骨が大きく一つ喘いだ、彼のたださえ皮膚の色をしていない皮膚は、友の為に憂いに充ちてしまった。頸の根が折れたように、いつまでも、顔を上げないのであった。

茶の日

刑部は、三成の企てを、意外とはしなかった。