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だいにのせっぷん

第二の接吻

菊池 寛

「東京朝日新聞」「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1925(大正14)年7月30日~11月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,960 字 · 247 页

青空文庫

三

」

「宅から電話がかかりましたって。そんなはずはないんでございますが。」

「まあ。とにかくお入り下さい。調べさせましょう。」

京子は、つい、ひっ返さずにはいられなかった。

三

今井は、京子を社長室に案内した。仮事務所ではあったけれども、さすがに椅子やテーブルは落着きのある立派なものを使っていた。

「どうぞ、おかけなさいませ。一昨日でしたかその前の日でしたか、お父さまにお目にかかりましたっけ。」

「さようだそうでございますねぇ。」

「今日は村川君に、ご用事ですか。」

「ええ。」

今井は、盛装した京子を、恍惚として見ていた。女事務員がお茶を持って来た。

「そうそう、さっき村川さんに、どこから電話がかかって来たか、よく訊いておいで。」

「あの、川辺さんとおっしゃいましたよ。私が、電話に出たのでございます。」

女事務員は直接に京子に答えた。

「そうでございますか。」彼女は心の中の失望や疑惑を押えて平気に答えたが、なぜ自分の家から電話がかかったのか、どう考えてもわからなかった。

「この間、お父さまにお目にかかったのは、山内倭文子さんのご縁談です、お聞きになりましたか。」

「ええ承りました。