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だいにのせっぷん

第二の接吻

菊池 寛

「東京朝日新聞」「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1925(大正14)年7月30日~11月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,960 字 · 247 页

青空文庫

激情が一つの火の塊となって、燃え狂っていた。その火の塊を思う存分村川に投げつけるほかはなかったのだ。彼女は、息を切らしながら、洋館の階段を上ると、村川の部屋のドアを、白い柔かい拳で、思い切り打った。

中には物音がしなかった。

「村川さん、入ってもいい。」

まだ中から、物音がしなかった。

「入ってもいい、村川さん。」

彼女の声は、はげしかった。

「どうぞ。」

村川の声は、ひくい、しかしながら、どこかに覚悟のひそんでいる声だった。

京子は、サッとドアを開けた。白い頬が赤らみ、美しい眉が心持逆立ち、大きい眸が輝き、隠し切れぬ殺気が、スラリとした長身に流れていた。

村川は、椅子から立ち上って、チラリと京子の方を見ると、すぐ眸を、カーペットの上に落していた。いい血色が光を失い、大きい眸が、オドオドとふるえていた。

京子は、つかつかと村川の傍に進んだ。

「そんなに、四角ばってあたしを迎えなくてもいいことよ。どうぞおかけ下さいな。わたしもかけますから。」

そういうと、京子は、壁際にあった肱掛椅子を引きよせて、村川と相対して腰をかけた。

七

「ねぇ、村川さん、わたしお尋ねしたいことがあるのよ。