轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

万里小路中納言藤房卿が、数年前に建てた館で、山屋敷の一つであったが、この裏山が魑魅魍魎――流浪人や猟師や山賊や乞食、そういうものの巣窟となって美しい風景を穢し出して以来、すっかり見すてて手入れもせず、まして住もうともしなかった館で、狐狸など住んでいないだろうかと、そんなにまでも案じられるほどに、それは荒れはてているのであった。

でも今夜はどうしたことか、そこに燈の光がともっていた。

廻廊ごしに山の景色の見える、古びてはいるが高雅な部屋に、几帳を横にし経机に倚り、短檠の光幽かな中で、飛天夜叉の桂子が、観音経を書写していた。

廻廊のあなた前庭の一所、楓の老木の根もとにあたって、雪白の物がかしこまっていた。五尺にもあまる白猩々であった。

それも桂子には気にかかっていたが、遥か向こうの山の中腹に、木の間がくれに一点の火の光が動かずにともっていることが、いっそう桂子には気にかかっていた。

写経の桂子

(あれは無人の猪小屋の筈だが)

そう、火の光の見えている、山の中腹のその一所には、昨日まで一人の住人のなかった、ほとんど壊れた猪小屋が――猟師が鳥獣を待ち射つため、荒々しく作った三間ばかりの小屋が、寂しく立っていた筈であった。