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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

ニヤニヤ笑って云うのであった。

「おいでくださるか、それは重畳、さあではすぐに、案内仕る」

と、五人目の武士がせき立てるように云った。

「行きますとも、行きますとも。……さあご一緒に参るとしましょう」

「こっちでござる、さあ参られい」

五人の武士は歩きかけた。

が、頼春は動かなかった。

「どうなされた、なぜお歩きなさらぬ」

「変でござるよ、足が動かぬ」

頼春の云い方は皮肉でもなく、また揶揄でもないのであった。

心持ちがほんとうに愉快なので、それで何んでも本当のことを、ポンポン云うまでにすぎないのであった。

比叡山の裏山にいた頃の頼春と、何んとひとが違っていることか!

でもそれでいて相手から見ると、凄い人間に見えるのであった。

そうしていつも一道の殺気が、ほとばしって来るように思われるのであった。

「盲目で片手の乞食の身の上、これでも生きていたいのだろう」

と、通りすがりにそう云ったところ、

「ではお斬りくださりませ」

と答えた。

「よし、慈悲を出して斬ってやる」

と、沖田と毛利とが太刀を抜くと、ヒョイと杖を突き出した。

「わッ」

ヒョイとまた杖を突き出した。

「わッ」