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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
(ではわたしも出かけて行こう)
と、こうして彼女たちは来たのであった。
それにしてもどうして桂子は、小原において大塔宮様が、大難にお遭いあそばすことを、その前日に知ったのであろう。
彼女が飛天夜叉であるからである!
飛天夜叉はどんなことでも、洞察することが出来るのである!
眺めている桂子の視野の中へ、風見の袈裟太郎の走って来る姿が、麦畑の緑と一緒にはいった。
芋ヶ瀬の荘司の様子をさぐりに、さっきから出かけていた袈裟太郎は、やがて桂子の前まで来た。
「宮様のご一行参られました」
と、額の汗を拭き拭き云った。
「山伏のお姿でござりまして、お供は八人にござります」
「八人?」
と桂子はいぶかしそうに、
「お供は九人の筈だがねえ」
「村上彦四郎義光殿の姿が、見えませんでござります」
「足でも痛めて遅れたのかしら? ……で、ご一行はどうあそばされたえ?」
「芋ヶ瀬荘司の館をさし、すぐにおかかりでござりました」
「館へお入りなされたのだね」
「はい、さようでございます」
「荘司はお迎えしたろうね」
「いえ家人を附けまして、附近の堂へご案内申し、そこへお置きにござります」
「そう……さては……芋ヶ瀬の荘司め……やっぱりわたしの察したとおり……」