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よっつのみやこ

四つの都

織田 作之助

「映画評論 第一巻四号」1944(昭和19)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,005 字 · 62 页

青空文庫

三一 校庭。

三二 小使室。

初枝「青木さん」

青木(起って)「大阪、神戸、京都、奈良です」

初枝「はい、よろしい。それ/″\府庁、県庁の所在地ですね」

「エイ、オウ」「エイ、オウ」という掛声が窓から入って来る。校庭で薙刀の稽古をしているのである。

初枝「この四つの都会のうち、大阪、神戸は日本の生産力の中心地で……」

三一 校庭。

清子が高等科の女の子に薙刀の基本動作を教えている。

「エイ!」

「オウ!」

「エイ!」

「オウ!」

やがて、授業の終った事を知らせる鈴が鳴る。

清子「やめエ! 礼!」

一同礼をする。(これは薙刀の作法だ)

清子「大体よろしいが、運動会は明後日ですから、明日もう一度練習をすることにします。よく覚えるように。解散!」

級長が号令をかける。

級長「気をつけ! 礼!」

清子、子供達と別れて、校庭を横切り小使室の前迄来る。

三二 小使室。

窓から、蜂谷十吉がぬっと顔を出して、清子を招く。十吉何故か髭を落している。

清子、渋々小使室の中にはいる。

十吉、いそ/\としてポケットから新聞を取出す。

十吉「尾形さん、あんたは南方へ日本語を教えに行くんですか?」

清子「えッ?」

狼狽する。

十吉「その銓衡試験を受けたんでしょう?」