轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

よっつのみやこ

四つの都

織田 作之助

「映画評論 第一巻四号」1944(昭和19)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,005 字 · 62 页

青空文庫

一 口縄坂。

そして、これらの高台の町は当然それ/″\の趣きに富んだ坂を幾つか持っているが、これらの坂もまた緑の中を縫うて登っているのである。例えば夕陽丘の口縄(クチナワと読む)坂がそれである。夕陽丘は名の如く静かな少女好みの町であるが、さすがにその附近一帯の町は、大阪の下町的な匂いも持っている。さて、口縄坂とはくちなわ(蛇)坂とでもいうべきであろう。口縄坂は緑の木木の中を蛇の如く縫うて登る細長い石段の坂である。この物語はまずこの口縄坂から始まる。

一 口縄坂。

カメラは坂下からじっと見上げているが、坂には誰もいない。しんとした寂しい黄昏が木木の緑に吸い込まれている。

やがて、坂下の通りから遠い唄声が聞えて来る。

福島少佐シベリヤ行の歌だ。

「一日二日は晴れたれど

三日四日五日は雨に風」

唄声はだん/\近づいて来る。やがて、唄の主の、新聞配達の少年、新吉が石段を登って行く。

「道の悪しさに乗る駒も

踏みわずらいて野路病」

登って行く新吉の眼に、坂の上の露地で少年達が胴乗り遊び(馬飛びともいう)をしているのが見える。途端に、新吉は胴乗りの調子を真似て、一度に三段、石段を飛び登ろうとする。