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よっつのみやこ
四つの都
織田 作之助
「映画評論 第一巻四号」1944(昭和19)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,005 字 · 62 页
三七 中庭。
三八 中庭の芝生。
船山「はッ、有難うございます、わざ/\神戸迄来て頂いて」
庄平「昼の休みで、丁度よかった、じゃ元気にやり給え」
庄平、起ち上る。
船山「もうお帰にやすか」
船山、扉をあける。
庄平廊下へ出る。廊下から中庭へ出る。
三七 中庭。
庄平が歩いて行く。
節子が作業服を来て、向うから来る。
節子「あらッ!」
庄平、辻節子だと気づくまで、相当時間が掛る。
やがて――
庄平「やあ、あなたでしたか」
節子「またお眼に掛りましたわね」
庄平「しかし、今日は驚きましたね、勤労奉仕ですか」
節子「いゝえ、ずっとこの工場で働くことにしましたの、仏像をお寺に納めて肩の荷が降りましたので、昨日まで東亜ホテルにいましたが、今日からこゝの寄宿舎へ移りましたの」
庄平「そうですか、親爺も聞いたら感激するでしょう。あのお嬢さん、一人ぽっちでどうするんだろうって言ってましたから」
節子「お父様にあの仏像のお代をまだお渡ししてないんですけど……」
庄平「いや、いゝですよ、親爺は譲ることは好きらしいですから」
三八 中庭の芝生。
庄平と節子腰を下している。
庄平「……戦地にいて、一番辛かったのは、野戦病院で昔の友人に会うた時です、友人はその日死にました、遺家族は妹さん一人きりです、あなたも一人ぽっちですが、その妹さんもあなたのように強く生きて下すったら、いゝんですがね、明日は友人の命日