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よっつのみやこ
四つの都
織田 作之助
「映画評論 第一巻四号」1944(昭和19)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,005 字 · 62 页
四九 庄平の部屋。
その横に「ベイエイゲキメツ」と書いてある。
初枝「どうして、こんなにピッタリ当るのかしら?」
清子(狼狽して)「いゝえ、出任せに言ってみたゞけよ、偶然よ」
初枝「そうね、偶然ってあるものね、私が今日その軍医さんを見たというのもやっぱり偶然だったのだわ」
清子「あら、何処で……? 学校で……? あ、じゃ、その方……」
清子、ショックをうける。
初枝「あら、どうかなさったの?」
二人暫らく無言。
この時、子供達が向うから来て、挨拶する。
子供達「先生、さよなら……」
清子、初枝「はい、さよなら」
瞬間、二人の顔は明るさを取り戻す。
清子「あなたならきっとあの方の気に入るわ。自信を持つのよ」
四九 庄平の部屋。
南方土産の面が壁に。庄平と十吉がいる。庄平滔々と喋っている。江藤に喋ったのと同じ表現である。
庄平「……医者の不養生っていうがね、僕は子供の頃からハシカ以外の病気をした事はない、強いて他に病気だといえば、そゝっかしい位なもんだ、という訳で、つまり僕は健康に育って来た、それだけに弱い子供の事を考えると痛々しくてならない……という事を、マライで原住民の子供を診察している時、ふと感じたのでね、こりゃ一つ内地へ帰ったら、日本の虚弱児童のために大いにその錬成運動……というより、寧ろその実際的……というかつまり……」