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だいうちゅうえんせいたい
大宇宙遠征隊
海野 十三
「国民五年生」1941(昭和16)年4月号~(終号未詳)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,967 字 · 109 页
そのうちに、とつぜん奇妙なことが起った。ぽーんとつきあげた風船が、すーっと天井にのぼっていったが、そのまま天井に吸いついたようになって、いつまでも下へ落ちてきそうでない。
(これは、へんだな)
三郎の身体が、このとき、急にかるくなり、そしてかるい目まいがした。
その次の瞬間であった。
じりりん、じりりん、じりりん。
警報ベルが、けたたましく鳴りだした。
「重力装置に故障が起った。修理に、五分間を要す」
ベルが鳴りやむと、そのあとについて、高声器から当直の声がきこえた。
重力装置の故障なんだ!
前にも、ちょっと説明したが、宇宙へいくに従い、重力がなくなる。この噴行艇の中にいる乗組員たちは、重力がなくなると、勝手がちがって、働きにくくなる。それでは困るから、わざわざ器械をまわして、この艇内だけに特に重力を起してあるのである。その重力装置が、故障になったという知らせである。道理で、ゴム風船が、天井へ上ったきり、落ちてこないわけだ。
(だが、さあたいへんだ!)
三郎は、急にいそがしくなった。重力装置が故障になると、室内の物品が、それぞれひとり歩きをはじめる。