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だいうちゅうえんせいたい

大宇宙遠征隊

海野 十三

「国民五年生」1941(昭和16)年4月号~(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,967 字 · 109 页

青空文庫

そしてとんでもない勝手なところへいってしまうので、ゆだんがならない。

三郎は、椅子から下りて、身がまえた。身がまえたといっても、風呂の中で立ち泳ぎをしているときのように、おかしいほど、お尻がふわりと浮きあがる気持だった。三郎は、両手で膝頭をつかんで、角力をするときのように、しやがもうとしたが、膝頭が、いやに重いような感じだった。

こういうときには、なるべく身体のどこへも力を入れないのがいいと聞いていた。へんなところへ力を入れると、身体がとんでもない方向へゆらゆら走っていって、停めようとしても停まらないそうである。

(早く、五分間たってくれますように。そして重力装置が、一刻も早くなおりますように!)

と、三郎が念じていると、ちょうどその目の前のコーヒー沸しから、妙なものが這いだしてくるではないか。

「あっ、なんだろう、あれは……」

茶色の飴ん棒みたいなものが、コーヒー沸しの口から、にゅーっと横にのびてくる。それは箸ぐらいの長さになり、それから更にのびて、先生の鞭ぐらいの大きさにのびた。

「おやおや、たいへんなことになったぞ。一体、あれは何だろうな」

そのうちに、その茶っぽい棒が、ふらふらしながら、室内をおどるように、うごきだした。