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だいうちゅうえんせいたい

大宇宙遠征隊

海野 十三

「国民五年生」1941(昭和16)年4月号~(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,967 字 · 109 页

青空文庫

月世界へ

「艇長。本艇の故障は直りそうですか」

「うん、極力やっているが、飛びながら直すのはちと無理らしい。この調子では、本艇を陸地につけて直すことになるらしい」

「本艇を陸地へつけるというと、またもう一度地球へ戻るのですか」

「いや、地球までは遠すぎて、とても引返せない。着陸するのなら、月の上だよ」

「へえ、月の上に着陸するのですか」

月世界へ

月の上に着陸するのだという。

それをきいて、風間三郎少年のおどろきは大きかった。月といえば、いつも地球のうえでうつくしくながめていたあの月だ。三日月になったり、満月になったりする月。雲間にかくれる月、兎が餅をついているような汚点のある月、いや、それよりも、いつか学校の望遠鏡でのぞいてみた月の表面の、あのおそろしいほどあれはてた穴だらけの土地! その月の上に着陸するときいては、三郎少年の胸は、あやしくおどるのだった。

「艇長。月の上へ着陸できるんですか」

三郎は、辻中佐に、たずねないではいられなかった。

「それは出来る。なかなかむつかしいが、出来ることは出来る。わしは一度だけだが、月の上へ降りたことがある」

さすがに艇長だけあって、辻中佐は、月の上に降りたことがあるという。