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だいうちゅうえんせいたい

大宇宙遠征隊

海野 十三

「国民五年生」1941(昭和16)年4月号~(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,967 字 · 109 页

青空文庫

三郎は叫んだ。

「おい艇夫、お前は何かいっているらしいが、喋るときはお前の兜から下っている二本の触角を、わしの触角につけてから喋らないと、お前が何をいっているのやら、わしには一向お前の声がきこえないよ」

艇長が注意をした。

「ああ、そうそう。それをすっかりわすれていた」

三郎は、やっと気がついた。そして彼の触角を、艇長の触角の方へもっていきながら、

「ええ、たいへん失礼ですが、艇長の触角にさわらせていただきます。あのう、艇長、今まできこえていた声が、急にきこえなくなったので、おどろいたのです」

と、目をくるくるうごかしていうと、艇長の目が兜の中で笑って、

「さっき、わしが号令をかけて、窓をあけさせたのは知っているね」

「ええ、知っていますよ」

三郎は、自分の触角を艇長の触角からはずすまいと、一生けんめいに首をつきだしている。首の骨がいたい。

「窓をあけると、わが噴行艇の中の空気は、一せいに外へながれだして、艇内に空気がなくなったのだ。音は空気の波だから、空気がなくなれば、音は急にきこえなくなったのだ。それくらいのことは、お前にもわかるじゃろう」

「ははあ、なるほど」