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だいうちゅうえんせいたい

大宇宙遠征隊

海野 十三

「国民五年生」1941(昭和16)年4月号~(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,967 字 · 109 页

青空文庫

上陸第一歩

がなお近づいて、ますますひろくなった。やがてそれは、洪水のようにひろがり、噴行艇のま下まで明るくなった。とたんに、魚雷のような形をした噴行艇の影が、くっきりと、月面のうえに落ちて、山脈も岩の平原も、流れるようにずんずんと後へ走っていった。

「着陸用意! 重力装置を反対にしずかに廻せ!」

艇長の号令が、無電にのって出た。

電力装置が、反対に廻りだした。すると、噴行艇の落下速度が喰いとめられた。艇はだんだん高度を下げていきながら、もりあがってくる月面の上に、ふわりと降りた。まるで蒲団のうえに落ちたかのように、しずかに着陸したのであった。ごとんと、たった一回だけ艇はゆれただけでじつに見事な着陸ぶりであった。

噴行艇は、笑いの海に、巨体をよこたえたのであった。

上陸第一歩

笑いの海に着陸すると、艇員たちは、俄にいそがしくなった。

号令は、無電をもって、矢つぎ早につたえられた。

重い扉が、内側にむかって開かれた。すると、中からはしごが下ろされた。

「艇長、下艇の用意ができました」

「よろしい。わしが月の世界への第一歩をふみだすぞ」

そういって、艇長はやおら大きな宇宙服につつんだ身体をおこし、司令塔から立ち出でた。