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わらわのはんせいがい

妾の半生涯

福田 英子

「妾の半生涯」東京堂、1904(明治37)年10月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 64,051 字 · 122 页

青空文庫

こは大阪未決監獄入監中に起草せるものなりき。妾はここに自白す、妾は今貴族豪商の驕傲を憂うると共に、また昔時死生を共にせし自由党有志者の堕落軽薄を厭えり。我ら女子の身なりとも、国のためちょう念は死に抵るまでも已まざるべく、この一念は、やがて妾を導きて、頻りに社会主義者の説を聴くを喜ばしめ、漸くかの私欲私利に汲々たる帝国主義者の云為を厭わしめぬ。

ああ学識なくして、徒に感情にのみ支配せられし当時の思想の誤れりしことよ。されどその頃の妾は憂世愛国の女志士として、人も容されき、妾も許しき。姑らく女志士として語らしめよ。

獄中述懐(明治十八年十二月十九日大阪未決監獄において、時に十九歳)

元来儂は我が国民権の拡張せず、従って婦女が古来の陋習に慣れ、卑々屈々男子の奴隷たるを甘んじ、天賦自由の権利あるを知らず己れがために如何なる弊制悪法あるも恬として意に介せず、一身の小楽に安んじ錦衣玉食するを以て、人生最大の幸福名誉となす而已、豈事体の何物たるを知らんや、いわんや邦家の休戚をや。いまだかつて念頭に懸けざるは、滔々たる日本婦女皆これにして、あたかも度外物の如く自ら卑屈し、政事に関する事は女子の知らざる事となし一も顧慮するの意なし。