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わらわのはんせいがい

妾の半生涯

福田 英子

「妾の半生涯」東京堂、1904(明治37)年10月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 64,051 字 · 122 页

青空文庫

第一 家庭

一 贋いもの

妾が烏滸の譏りを忘れて、敢えて半生の経歴を極めて率直に少しく隠す所なく叙せんとするは、強ちに罪滅ぼしの懺悔に代えんとには非ずして、新たに世と己れとに対して、妾のいわゆる戦いを宣言せんがためなり。

第一 家庭

一 贋いもの

妾は八、九歳の時、屋敷内にて怜悧なる娘と誉めそやされ、学校の先生たちには、活発なる無邪気なる子と可愛がられ、十一、二歳の時には、県令学務委員等の臨める試験場にて、特に撰抜せられて『十八史略』や、『日本外史』の講義をなし、これを無上の光栄と喜びつつ、世に妾ほど怜悧なる者はあるまじなど、心私かに郷党に誇りたりき。

十五歳にして学校の助教諭を托せられ、三円の給料を受けて子弟を訓導するの任に当り、日々勤務の傍ら、復習を名として、数十人の生徒を自宅に集め、学校の余科を教授して、生徒をして一年の内二階級の試験を受くることを得せしめしかば、大いに父兄の信頼を得て、一時はおさおさ公立学校を凌がんばかりの隆盛を致せり。

学校に通う途中、妾は常に蛮貊小僧らのために「マガイ」が通る「マガイ」が通ると罵られき。この評言の適切なる、今こそ思い当りたれ、当時妾は実に「マガイ」