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わらわのはんせいがい
妾の半生涯
福田 英子
「妾の半生涯」東京堂、1904(明治37)年10月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 64,051 字 · 122 页
読む者強ちに、はしたなき業とのみ落しめ給うことなくば幸いなり。さて記すべき事とは何にぞ、そは妾の身体の普通ならずして、牢獄にありし二十二歳の当時まで、女にはあるべき月のものを知らざりし事なり。普通の女子は、大抵十五歳前後より、その物のあるものぞと聞くに、妾は常に母上の心配し給える如く、生れ付き男子の如く、殺風景にて、婦人のしおらしき風情とては露ほどもなく、男子と漢籍の講莚に列してなお少しも羞しと思いし事なし。さるからに、母上は妾の将来を気遣う余り、時々「恋せずば人の心はなからまし、物の哀れはこれよりぞ知る」という古歌を読み聞かせては、妾の所為を誡め給いしほどなれば、幼友達の皆人に嫁して、子を挙ぐる頃となりても、妾のみは、いまだあるべきものをだに見ざるを知りて、母上はいよいよ安からず、もしくば世にいう石女の類にやなど思い悩み給いにき。しかるに今獄中にありて或る日突然その事あり、その時の驚きは今更に言うの要なかるべし。妾の容子の常になく包ましげなるに、顔色さえ悪しかりしを、親しめる女囚に怪しまれて、しばしば問われて、秘めおくによしなく、遂に事云々と告げけるに、彼女の驚きはなかなか妾にも勝りたりき。