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わらわのはんせいがい
妾の半生涯
福田 英子
「妾の半生涯」東京堂、1904(明治37)年10月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 64,051 字 · 122 页
第六 公判
一 護送の途上
二 公廷の椿事
さりながら妾は実に、同志の無情を嘆ぜしなり、特に葉石の無情を怨みしなり、生きて再び恋愛の奴となり、人の手にて無理に作れる運命に甘んじ順うよりは、むしろ潔く、自由民権の犠牲たれと決心して、かくも彼の反省を求めしなるに、同志の手には落ちずして、かえって警察官の手に入らんとは、かえすがえすも面伏せなる業なりけり。いでや公判開廷の日には、病と称して、出廷を避くべきかなど、種々に心を苦しめしかど、その甲斐遂にあらざりき。
第六 公判
一 護送の途上
いよいよその日ともなれば、また三年振りにて、娑婆の空気に触るる事の嬉しく、かつは郷里より、親戚知己の来り会して懐かしき両親の消息を齎すこともやと、これを楽しみに看守に護られ、腕車に乗りて、監獄の門を出づれば、署の門前より、江戸堀公判廷に至るの間はあたかも人をもて塀を築きたらんが如く、その雑沓名状すべくもあらず。聞く大阪市民は由来政治の何物たるを解せざりしに、この事件ありてより、漸く政治思想を開発するに至れりとか、また以て妾らの公判が如何に市民の耳目を動かしたるかを知るに足るべし。
二 公廷の椿事
明治十八年十二月頃には、嫌疑者それよりそれと増し加わりて、総数二百名との事なりしが、多くは予審の笊の目に漉し去られて、公判開廷の当時残る被告は六十三名となりたり。