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わらわのはんせいがい
妾の半生涯
福田 英子
「妾の半生涯」東京堂、1904(明治37)年10月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 64,051 字 · 122 页
第九 重井との関係
一 結婚を諾す
に着かずして中天にぶらさがりながら、辛うじて東雲新聞社に入る。新聞社の前にも見物人山の如くなれば、戸を閉じて所要ある人のみを通す事としたるに、門外には重井万歳出獄者万歳の声引きも切らず、花火は上る剣舞は始まる、中江先生は今日は女尊男卑なり、君をば満緑叢中紅一点ともいいつべく、男子に交りての抜群の働きは、この事件中特筆大書すべき価値ありとて、妾をして卓子の上に座せしめ、其処にて種々の饗応あり。終りて各旅宿に帰りしは早や黄昏の頃なりけり。
第九 重井との関係
一 結婚を諾す
それより重井、葉石、古井の諸氏は松卯、妾は原平に宿泊し、その他の諸氏も各旅宿を定め、数日間は此処の招待、彼処の宴会と日夜を分たざりしが、郷里の歓迎上都合もある事とて、それぞれ好きほどにて引き別るることとなり、妾も弥明日岡山へ向け出立というその夜なりき、重井より、是非相談あれば松卯に来りくれよと申し来りぬ。何事かと行きて見れば、重井も葉石もあらず、詮方なく帰宿せんとする折しも、重井独り帰りて、妾の訪れしを喜び、さて入獄以来の厚情は得も忘られず、今回互いに無事出獄せるこそ幸いなれ、ここに決心して結婚の約を履まんという。