轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

「夕刊朝日新聞」1951(昭和26)年6月18日~9月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,360 字 · 251 页

青空文庫

二

千之助もまたそれには答えなかった。なにやらあざ笑うように白い歯をみせ、

「またあとでお眼にかかります」

こう云って向うへ去った。

「なんだいあれは、おそろしくずけずけものを云うじゃないか」

重兵衛が舌打ちをした。半之助はにわかに気が重くなった。若い従弟のつっかかるような態度や、歪んだ、毒のある笑いに、なにやら不吉の予告めいたものを感じたからである。

――ばかな、そんなことがあるわけがないじゃないか。

そう否定してみても、その暗い不快な感じは、水のしみるように、半之助の全身にひろがっていった。まもなく母が呼びに来た。

本堂に移って施主の席につき、読経が始まるとすぐ、松室泰助が、いかにも忙しそうにやって来て、そそくさと母に会釈をし、半之助の耳へ口をよせて囁いた。

「なにぶん急のことで、……すぐに、なるべく早く」

そういうところだけ、わざと隣りの母に聞えるように云った。

半之助は頷きながら、ふと千之助のほうを見ていた。彼は大目付記録所の、望月内記のそばに坐って、なにやら、親しげに、話しかけていた。

二

役所の急用という理由は認められたが、すぐにはぬけだすことができなかった。