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さこんのいかり
左近の怒り
「講談倶楽部 第六巻第九号~第一一号」1954(昭和29)年7月1日~9月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 47,454 字 · 95 页
「分りました。まもりますよ、お言葉を。まるで東京は戦場だね。ボクはもう戦争には行きたくないからな」
左近はこう云ったが、その戦場が特に怖しいわけでもなかった。しかし永遠に足跡を消してもらいにわざわざ出かけるにも及ばない。だが、どうも、敵のコンタンがのみこめないのだ。自分が倉庫を爆破して奪いとるはずの物は何物であったか。それを命じた神奈川ウジは何者であるか。それを考えると甚だ寝ざめのわるい心持だ。そしてまた胸クソわるい心持もするのである。要するに腹もたつし、イヤな気持だ。
「神奈川ウジが何者で、爆破するはずの金庫がどこの金庫で、その中の品物が何であったか知る方法はないものですかね」
左近がこうきくと、洋次郎は困ったように顔をしかめて、
「それなんだよ。知らずにすめば、むしろその方が我々にシアワセなのだ。ひょッとすると、否応なくそれを知らなければならないとこまで追いこまれるかも知れないぜ。そのときは我々一党、命がけの問題さ。そこまで追いつめられる危険が多分にありそうな気がするのだが、そのときは命あっての物ダネだから、アッサリ手をあげる分別がカンジンさ。特に女、子供はね。