轻松读懂日语经典作品
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かげおとこ
影男
江戸川 乱歩
「面白倶楽部」1955(昭和30)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,133 字 · 310 页
「手下だって? ぼくはそんなもんじゃありませんよ。この先の銀行の前で日なたぼっこをしていると、変なやつが来て、五百円くれたんです。このうちへ行って、門はあいたままになっているから、裏庭へ行くと、寝巻きを着たここのうちのだんなが、木にしばられているから、なわを解いてやれっていうんです。そうすりゃ、たんまりお礼がもらえるからってね。それで、やって来たんですよ」
良斎は立ち上がって苦笑いをした。あの黒いクモみたいな男は何者だろう。なんて抜けめのないやつだ。
「そうか。そりゃありがとう。じゃ、こっちへ来たまえ。お礼をあげるから」
良斎は家にはいって、数枚の紙幣を持ってきて、男に与えた。愚かものらしいその男は、深くも疑わず、それ以上の欲も出さないで、そのまま帰っていった。
それから数日のあいだ、良斎は悶々として楽しまぬ日を送った。雇い人を全部追い出してしまったので、会社に電話をかけて、家政婦をふたりよこすように命じ、やっと食事にありついたが、気分がわるいからといって、会社へも工場へも行かなかった。客もみな断わって、ひと間にとじこもり、酒ばかり飲んでいた。
すると、五日ほどたったある日、取り引き銀行の支店長がたずねてきた。