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ふくいんさつじんじけん
復員殺人事件
「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页
「それでは久七をつれてきたまえ」
久七は体格の立派な、見るからに力の強そうな若者であった。ツギハギだらけの国民服をきている。
「どうだな。久七。昨夜は漁があったかな」
と、大矢捜査主任がきいた。
「いけませんや。ちかごろは不漁つゞきでさア。イカが五貫目チョッピリときてやがらア」
「シケでも一晩ザッと千五百円なら、たいしたもんじゃないか」
「笑わしちゃいけませんや」
「どこで釣るんだ」
「早川が不漁ですから、ちかごろは、米神の方へのしてますが、どこへ行っても、いけませんや」
「お前は毎朝七時ごろ戻ってくるそうだな」
「舟をあげるのは五時半か六時ごろですがね。品物の処分をつけてきますから、まア、だいたい、七時ごろ家へ帰ってきますよ」
「今日はどうしておそかったのだ」
「アハハ。おいでなすったな」
久七はニヤリとした。
「ボクはうるさいことがキライなんですよ。ここのウチになにかあったと聞きましたから、こいつはイケナイと思いましてね。一晩夜釣りにでゝごらんなさい。わかりますから。夜が明けると、ねむたくって、やりきれませんや。百円の魚を五十円に売っても、はやく眠りたいと思う時があるもんですよ。