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ふくいんさつじんじけん
復員殺人事件
「座談 第三巻第六号~第七号、第四巻第一号~第三号」1949(昭和24)年8月1日~9月1日、1950(昭和25)年1月1日~3月1日(未完)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 页
と私がきくと、巨勢博士は、
「イヤ、女のほかは、と云う方が正しいですよ」
「なぜ」
「とにかくアリバイのない人間は、みんな疑ってみなければ片手落ちというもんですよ。安彦氏にもアリバイはありません」
「由之氏の当時の妾というのは、今、どうしているのでしょう。これが重要な証人になりそうですが」
と私が大矢氏に問いかけると、
「それですよ。その妾が今では由之氏にすてられて、彼を恨んででもいると、大変面白くなりそうだが、しかし、アリバイの証言と云っても五年も昔の出来事では物の役には立ちませんし、犯行をカンづいているとすれば、妾を敵にまわして、ほッとくような倉田先生ではないでしょうな」
「モトは、犯人は倉田由之だと云ってましたな」
「そんなことを口走ったようでしたな。しかし、街の浮説がそうなんですから、そういう浮説に同じやすいモトのような女の云うことは、とりあげても仕方がありません」
「しかしモトの証言で見のがせない特徴が一つありますな」
と、巨勢博士がニヤニヤした。
「なんだい、それは?」
「先生は小田原にくわしいから、おききしますが、陸橋というのは、どこにありますか。そこは現場から倉田家へ行く途中ですか」