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しそうとしてのぶんがく

思想としての文学

戸坂 潤

「思想としての文学」三笠書房、1936(昭和11)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,809 字 · 408 页

青空文庫

だから曾て、プロレタリア文学の創作方法は、「プロレタリア・リアリズム」というスローガンを、やがて「唯物弁証法的創作方法」というスローガンに代えたのである。最近ソヴェートに於ては、この後者のスローガンの代りに、「社会主義的リアリズム」や「革命的ロマンティシズム」というスローガンを掲げろと、或る人々は云っている(キルポーチンなど)。マルクス主義的文学理論が形式的には比較的進歩しているわが国に於ても亦、この頃このテーマは興味の中心をなしているようである。

「プロレタリア・リアリズム」――「唯物弁証法的創作方法」――「社会主義的リアリズム」(又「革命的ロマンティシズム」)という推移は、プロレタリアの陣営の歴史的に必然的な量的又は質的前進に対応したものであったし又現に対応するものである筈だが、そればかりではなく、同時にそれが、文学的真理の把握(現実の現実的な模写)の必然的な進歩に他ならない筈である。元来「唯物弁証法」(即ち唯物論)は、文学に於ても、理論や科学に於てと全く同様に、決して単に当面的な方針としてのスローガンなどではない、それは文学の制作に於て本質的な内容なのだ(それは次に見よう)。