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しそうとしてのぶんがく

思想としての文学

戸坂 潤

「思想としての文学」三笠書房、1936(昭和11)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,809 字 · 408 页

青空文庫

四

現実に対して、変革活動という形で関係をつけるだろうのに、文学者は文学者である限りは、所謂風刺という形の文筆活動で以て関係をつけるというまでなのである。

で風刺文学はその見方や書き方や表現やの特別な様式によって風刺文学なのではなくて、現実が風刺的である場合に是非とも発生しなければならぬ文学の一般的な特色だとすれば、今時この世の中で、風刺文学と非風刺文学とを別けて、風刺文学を提唱するというようなことは、少し異なことだといわねばなるまい。

四

風刺文学という風に問題を出すから、見方や書き方という主観的作為の問題ででもあるように見え、その意味で一文学様式の問題に過ぎないかのような、気持がし勝ちなのである。尤もリアリティーから離れて全く主観的な勝手な文学様式などは考えられないということは、一般的には誰でも心得ているわけだが、併し風刺文学というような特別なテーマになると、いつとなく之が忘れられがちとなる。風刺文学もなくてはいけない、今まで夫がなかったのは大間違いだった、だが、風刺文学は畢竟風刺文学で、本格的な非風刺文学の方がやっぱり本当だ、というような気持ちになり勝ちなのである。