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しそうとしてのぶんがく
思想としての文学
戸坂 潤
「思想としての文学」三笠書房、1936(昭和11)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,809 字 · 408 页
之は哲学法そのものから云って致命的な欠陥である。丁度思想だけを持っている、思想を進めて行く専門的な科学的(学的)技術を持たない自称「哲人」の場合と同じに。
最後にこういう思想の技術である哲学法に必要な、精神上の素質を列記しておこう。
第一、分析力=甄別力。ものの一見わずかな違いが見逃されると重大な誤算が産まれる。明晰な頭脳、鋭い頭と呼ばれるもの。多少数学的な素質。
第二、連想力=構想力=ファンタジー。之は常識と教養とからくる処の一見異ったものの間の、かくれた同一性を見抜く能力。働く頭と呼ばれるもの。多少詩的な素質。
第三、象徴力=性格づけの能力=解釈力。事物の意味を的確に突く力。確かな頭。多少散文的な素質。
第四、総合力=組織力=構成力。事物の同と異との間に処して、本質的な対立と統一とを追跡する能力。強靱な頭。哲学に固有な素質。なおここに、真実感や性格の辛さを、つけ加えていい。
之で見て判るように、哲学法が、その素質の上から云っても他の豊富な文化諸領域を離れて決してあり得ないことを見るべきだ。特に文芸との関係がそうなのである。
(一九三五)
31 論文論