轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

吉川英治『柳生月影抄 名作短編集(二)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:柳生月影抄、下頭橋由来、脚、べんがら炬燵、大谷刑部、鬼、春の雁、旗岡巡査、茶漬三略。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 173,309 字 · 352 页

青空文庫

三成と刑部とは、莫逆の友である。――佐和山と、敦賀とは離れていても、心はお互いに常に近かった。

開けひろげた三方の柱に、簾がかけてある。水を打った植込みの蔭には、チチチと涼やかに虫の音がながれ、そこにも仄かな短檠が、微風にまたたいている。

簾の前に、刑部は坐った。――彼は、よほど親しい仲でない限りは、いつも、簾越しに会うのを礼儀としていた。

「彦右か」

「はっ……」

樫原彦右衛門は、その次の間に、両手をついていた。簾越しの白い人影を仰いで、

「炎暑の御陣立ち、御大儀にござりましょう」

と、云った。

「む……。戦いは、いつもよいものではないが、わけて、夏の陣立ちは、あの具足というやつが、着るだけでも、容易でない。わけてもこの身の如き病体には……」

と、虫の音に、言葉を切って、

「――時に、治部殿は、御閉居以来、どうじゃの、元気か」

「自適いたしておりまする」

「この度、東北において、上杉景勝、直江山城守などが、乱を為し、その御平定に、徳川内府が赴かるるについて、かねて、内府の心証を損ねておる治部殿にとっては、ここ、またとない取做しどころと――こう刑部自身は考えたゆえ、御子息の隼人殿を誘いあわせたが、お出でましはどうじゃな。