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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
吉川英治『柳生月影抄 名作短編集(二)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:柳生月影抄、下頭橋由来、脚、べんがら炬燵、大谷刑部、鬼、春の雁、旗岡巡査、茶漬三略。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 173,309 字 · 352 页
「うんか、嫌かは、家付の娘をてめえが見ての上だが――」
と、弁政は、ここで、りきんだ。
「自慢じゃねえが、掘出し物だ。別嬪だ。それに、歌沢の社中で、糸もいける。まあ、見てからにしろ、なあ彦太」
四囲の事情は、彦太のためらいを許さなかった。彦太は、肚をきめた。
「伯父さん、見なくっても、ようございますから、何分――」
「それがいけねえ、承知なら、機嫌よく、小牧の父娘に、会ったらいいじゃねえか」
で――彦太は、連れて行かれた。
娘は、お縫といって、二十二だという。彦太は、単純に、美人だと感じた。しかし、七十幾両の金が、美人の娘の前で、垢くさい御家人の父親と、取引される時、彼は、顔をそむけた。
帰り道に、伯父と別れて、彦太は、撃剣の師である伊能矢柄の道場へ寄った。きょうは、稽古よりも、師の矢柄に、直接、訴えてみたい気持だの疑問を、いっぱいに抱いていた。
しかし、彦太は、例の訥弁で、師の前に坐ると堅くなってしまった。矢柄は、彼が近く御家人の跡目をついで、士格になるという事をおよそ聞くと、
「それはよかった。腕では、もう立派に武士だけのものはある。大小を帯びて、大小に恥かしい貴公ではない。