轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
前篇 猟奇の果、後篇 白蝙蝠「文藝倶楽部」博文館、1930(昭和5)年1月~12月<br>「猟奇の果」もうひとつの結末「猟奇の果」日正書房、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 134,971 字 · 270 页
だが答えはやっぱり意地悪く、
「四郎さまお許へ」
と云い放った。
「マア」
芳江はびっくりして、真面目な顔になった。そして、一刹那目をうつろにして、「四郎さま」の意味を捉えようとして、頭の中を探し廻っている様子だった。
「無実に極っている。いくらなんでも、こんな巧みなお芝居が出来る筈はない」愛之助はすっかり安心した。恋という字のくずし方は確かに似ているけれど意味もない暗合にすぎないのだ、品川が云った通り、偶然同じ手本を習ったのだ。
「四郎さまって、一体誰のことをおっしゃるの?」
芳江は少し蒼ざめて、つめ寄る風で尋ねた。
「いいんだよ。もうすっかりよくなったのだよ。四郎さんかい。四郎さんなんて、どこにだって転がっているよ。小学校の読本にだって」
愛之助はすっかりいい気持になって云った。
それから暫くして、変なことだけれど、愛之助は電車に乗っていた。
電車は満員だった。身動きも出来ないで、吊皮にぶら下っていた。人間の頭が、紳士や商人や奥さんやお神さんや令嬢や、重なり合って、ゴチャゴチャと目の前に押し寄せている。が、ふと見ると、その頭の間から、チラッと品川四郎の顔が覗いた。