轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
陥穽
川村が立去ったあとの一座が白け切ったことは申すまでもない。歓迎会の賓客が消えてしまったのでは、この会食は全く意味を失うのだ。わしは何気なく、その場をつくろって、匆々お開きにすることにした。来会者達は、大方は様子を察していたが、何事も口にせず、陰気な挨拶を交して、夫々家路についた。
陥穽
その夜十時頃、わしはY温泉の例の小別荘に、すっかり準備をととのえて、姦夫川村がやって来るのを、今や遅しと待ち構えていた。
川村の奴、あれからすぐ瑠璃子の住いへ駈けつけたに極っている。彼に取っては余りにも意外な瑠璃子の変心を責める為にだ。
併し瑠璃子はいない。彼女はわしの意見に従い、川村を避ける為に、今朝早く旅に出た。女中一人を供につれて、二三日の小旅行に出掛けたのだ。
川村は留守居のものから、それを聞くだろう。そして、やっぱり瑠璃子とわしとの婚約が嘘でなかったことを悟るに違いない。なぜといって、瑠璃子は川村が今日帰郷するという通知を受取っている筈だ。それを知りながら、行先も分らぬ旅に出かけたとすれば、これが心変りでなくて何であろう。川村の奴、ここで又第二の鉄槌で脳天を打ちくだかれるのだ。