轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
美しき獣物
じっとこらえて、徐ろに計画をめぐらし、丁度わしが受けたと同じ苦しみを、先方に与えるのが、真の復讐というものだ。
それは兎も角、わしは川村のこの驚くべき告白を聞いて、ギョッとしながらも、やっぱり化石したまま身動きもしなかった。そして、全身を耳にして、次の言葉を待った。どんな些細な一言も、聞きのがすまいと、耳をそばだてた。
彼は今二重の人殺しをした様に言った。一人はこのわしに違いない。もう一人は一体全体何者であろう。わしはそれがひどく気がかりであった。その憐むべき被害者というのは、やっぱりわしの血筋のものではあるまいかと直覚的に感じた。
だが一体誰だろう。わしの知っている限りでは、わしの一族に殺されたものは勿論、最近死亡したものすらない。
事実は正にその通りだ。併し、事実以上の何ものかがわしの心臓を脅かした。誰とも分らぬ、非常に親しいある人の見るも無残に傷けられた、血みどろの幻が、ボンヤリと目の前に浮んで来た。
美しき獣物
皆さん、一つ考えて見て下さい。姦夫姦婦がふざけちらしている現場を、彼等の為に裏切られ、殺されてしまった男が、じっと見ているのだ、こんな残酷な立場が、いつの世、どこの世界にあったでしょう。