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はくはつき

白髪鬼

江戸川 乱歩

「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页

青空文庫

幸福の絶頂

その建物に、皆さんもきっとびっくりする様な、前代未聞のからくり仕掛を拵えたのじゃ。無論わしの大復讐の手段としてね。それがどんな奇妙な恐ろしい仕掛けであったかは、やがて分る時が来るじゃろう。

「マア、そんな尊い仏様でございますの? そのお堂とやらが出来上りましたら、是非一度あたしにも拝ませて頂き度うございますわ」

何知らぬ瑠璃子め、真に受けて、そんな宝物の持主であるわしに対して、一層の好意を感じたらしい顔付だ。

「勿論ですよ。あんたには、是非見て頂き度いと思っているのです。お堂の建築は、わしが工夫をこらした、一種風変りな建て方ですから、きっとびっくりなさるじゃろう。あんたのびっくりなさる顔が、今から目に見える様で、わしは楽しみですよ」

事実、どんなにか、わしはそれを楽しんでいたであろう。瑠璃子が如何にびっくりすることか。珍らしさにか。恐ろしさにか。ウフフフ、……恐ろしさに驚くとすれば、それがどれ程の恐ろしさであることか。

幸福の絶頂

わし達がそんな話をしている所へ、いきなりドアを開いて、姦夫川村義雄が這入って来た。これが夫婦でもない他人の訪問のし方であろうか。