轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
卒倒
「マア、お待ち。なにもそんなにせくことはないよ。いよいよ婚礼の儀式が済んだら、きっとこれをはずして見せて上げる。あすの晩、ね、あすの晩こそ、お前の見たがっているものを、何もかも見せて上げるよ。わしの目も、わしの莫大な財産や宝石類も、それから、お前の逢いたがっている川村君の居所も、すっかり見せて上げるよ。マア、それまで待ってお出で。あすの晩こそ、わし達にとっては、実にすばらしい夜なのだよ」
そう云われると、瑠璃子は強いてわしの目を見ようと主張はしなかった。そして、嬉しさと一抹の不安との混り合った表情で、あどけなく、ニッコリ笑って見せた。振いつき度い様な愛らしい笑顔で笑って見せた。この不思議な約束に、どの様な恐ろしい意味が含まれているかも知らないで。
卒倒
さて、婚礼の当日とはなった。
わしは永年の外国住いで、日本のお宗旨には縁がなくなっているという理由でS市唯一の耶蘇会堂を式場と定め、万事西洋流の儀式を行うことにした。老人と未亡人との風変りな婚礼には、その方がふさわしく思われたからだ。
細長い、天井の高い、薄暗い会堂の中は、美々しく着飾ったS市社交界の紳士淑女で一杯であった。