轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
四方を囲む板は棺であったのだ。
皆さんはポオの『早過ぎた埋葬』という小説を読んだことがありますか。わしはあれを読んで、生き埋の恐ろしさをよく知っていたのだ。
あの小説には、様々の不気味な事実が羅列してあったが、中でもわしの記憶に残っているのは、土葬をした棺を、数年の後開いて見たところが、骸骨の姿勢が、棺に納めた時とまるで違っていた。その骸骨は足をふんばり、腕を曲げ、指の爪を棺の板に突立てて、無残にも、もがき廻った恰好をしていた。これは、死人が棺の中で蘇生し、棺を破ろうと、苦しみもがいた跡でなくて何であろう。アア、世にかくの如き大苦悶が又とあるだろうか。という一節だ。
わしは又、別の本で、もっと恐ろしい記事を読んだこともある。
それは、姙み女が埋葬されてから、棺内で蘇生し、蘇生すると間もなく、腹の子供を生み落したというのだ。想像した丈けでも総毛立つではないか。彼女は暗闇の中で、空気の欠乏と闘いつつ、再び世に出る望みはないと知りながら、悲しい母親の本能で、出もせぬ乳房を、その赤ん坊に含ませはしなかったか。アア、何という恐ろしい事実であろう。
わしは、棺内にとざされていることを自覚すると、咄嗟に、これらの恐ろしい先例を思い浮べ、身体中に油汗を流した。