轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
首を長くして待っていると、わしの計画は美事図に当って、間もなくその新聞の社会面に、麗々しく、大体こんな風な記事が掲載された。
「近頃羨むべき成功美談がある。その主人公は旧S藩主大牟田子爵家の親族で里見重之という人物であるが、今から二十余年前単身南米に渡航し、其後杳として消息を絶った為に異郷に死せるものと信じられていたが、実はあらゆる艱難辛苦を嘗めて大身代を作り、余生を楽しく送らんが為に、莫大な財産を携えて帰って来た。途中上海に立寄り、今は同地××ホテルに滞在中であるが、近日S市に帰って永住の計を定めるとの事故、知ると知らざるとを問わず、交際社会の人々は双手を上げてこの大成功者を歓迎することであろう」
という様な意味であった。その記者は、掲載紙二部に、鄭重な挨拶の手紙をつけて、わしのホテルへ送って来たものだ。
この新聞記事は意外の利目があった。S市は勿論附近の名のある人々から、喜びの手紙を送って来るものもあり、旅館商店などの案内状も舞い込んで来た。わしは習い覚た冷淡な態度で、そんな手紙に驚きもせず、極あたり前のことの様に、平然として読み下し、平然として屑籠に投げ込んだ。