轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はくはつき

白髪鬼

江戸川 乱歩

「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页

青空文庫

そこで、流石の彼も、わしの変装の巧さに、感嘆の声を漏らさないではいられなかったのだ。

だが、実はわしは賊の手下でもなんでもないのだから、彼にわしの本性が見破れぬのは当り前のことである。

わしがそんなことを考えている間に、警官達もやっとそこへ気がついたと見え、何かペラペラと喋りながら、見物達を一人一人うさん臭く眺め廻した。あとで人の話を聞いて分ったのだが、彼等は、

「誰か紅髑髏の印をつけた奴が、この中にまぎれ込んでいるに違いない。探せ探せ」

と怒鳴っていたのだそうだ。警官達は無論「紅髑髏」が海賊一味の記号であることを知っていたのだ。

だが、賊がわしを見分けたのは「紅髑髏」でなくて、ネクタイ・ピンの真珠によったのだから、いくら探したとて、分る筈がない。

わしはもう、愚図愚図していて掛り合いになっては大変だと思い、コッソリその場を立去ろうとしていると、わしの頸筋へギョッとする様な賊の怒鳴り声が降りかかって来た。

「コレ曲者、ここへ来い。俺はまだ貴様などに欺かれる程耄碌はしないぞ」

恐らくわしの顔は真青に変ったに相違ない。ハッと立ちすくんだまま、動けなくなってしまった。