轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
賊は空を睨んだまま、さもくやしげに怒鳴りつづける。
「俺は人の物を盗むけれど、貴様の様に持主の留守を窺い、こっそりと盗む様な卑怯な真似はしない。昼日中堂々と押しかけて、相手の鉄砲がわしを狙っているその前で、物を盗む。力ずくの戦いだ。盗むのではない。力ずくで奪うのだ。サア、けちな盗人奴、ここへ来い。貴様に言い聞かせることがある」
流石名を売った賊程あって、云うことが大きく、芝居がかりだ。併し、わしはそれどころではない。愈々運の尽きだと、震え上ってしまった。
賊は誰も返事をせぬものだから、癇癪を起して、又怒鳴りつけた。
「コレ、そこに隠れている奴。取って食おうとは云わぬ。貴様の好きな俺の女房からことづけがあるのだ。サア、ここへ出て来い。山田、ビクビクしないで、ここへ来い」
オヤ変だぞ、わしを山田という手下と間違えているのかしらんと思いながら、ふとかたわらを見ると、わしから二三人向うに、支那服を着た日本人らしい男が立っている。その男がいやな笑いを浮べて、ソロソロと朱凌谿に近づいて行くではないか。
さてはこの男が山田という日本人で、賊に呼びかけられていたのかと、わしはホッと安堵の胸をなでおろした。