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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
「東京朝日新聞」「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1925(大正14)年7月30日~11月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,960 字 · 247 页
」
「ほんとうですとも。」
「どこで。」
「ご自身のお部屋で。」
「どうしてでしょう。」
「どうしてだか知らないわ。」
「でも、ただお泣きになるわけはないでしょう。」
「ええ。そうよ。きっと、お姉さまがおいじめになったのよ。」
「そんなに、お姉さまは倭文子さんを、いじめるのですか。」
「ううん。でも、時々。」
「時々でもいけないな。悪いお姉さまだな。」
「だって、わたし仕方がないんですもの。」
そう言って、美智子は口を一杯開けて、お芋を二つつづけて食べた。
村川は、倭文子が京子から、そんなにいじめられていることが、皆自分の責任であるように思った。だが、偶然一緒にカーテンの陰にかくれたことが、それほど京子を怒らせているとは、どうしても考えられなかった。でも、もしそのことだけで、京子が怒っているとしたならば、京子が嫉妬していることになるのだが。でも、嫉妬しているとしたならば、京子が自分を愛していることになるのだが、そうした姿態を京子に見出すことは、とうてい出来なかった。自分に対して高飛車に出ることは、ああした女性が、あらゆる男性に対して持つ一つの逆な媚態で、それが自分だけに対する愛の表情であるとは考えられなかった。