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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页

青空文庫

檻を破って検分検分!」

「いかにも怪しい。檻をひらけ! これこれ香具師ども、檻をひらけ」

――すると檻の横につくり物としては、真に迫っている大鉞をつき、ノッソリと立っていた頤髯のある男が、

「はいはいおのぞみでござりましたら、この檻ひらくでござりましょうが、その代わり警護のお武士さま方や、そこにいられる山伏殿は、命のご用心なさらねばならず、それご承知でござりまするかな」

と、物々しい声で嚇すように云った。

「何を馬鹿な、たわごと申すな! ……何かと申して開けまいとするこの檻、いよいよ怪しい開けろ開けろ!」

範覚は威猛高に怒号した。

「はいはいそうまでおっしゃいますなら、お開けいたしますでござりまするが、それはそれは恐ろしいものが、はいっているのでござりまするぞ」

「えい、くどい! 早くあけろ!」

「それじゃアお開けいたします。……この鉞でガ――ンと一撃! と板がバラバラになる。その瞬間に恐ろしい奴が……」

「飛び出すというのか、ナーニナーニ」

と、云いながらも範覚は一足さがった。

「が何事もご用心、ご用心が専一にござります。……山伏殿などズーッとうしろに、お引きさがりなされておられました方が……」