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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
大勢の人間が遠巻きにではあったが、彼の周囲に集まっているように、そんなように思われてならなかった。
人声がし足音がし、時には叫喚の声さえ聞こえ、斬り合う音や仆れる音さえ聞こえるように思われた。
そう、彼の感覚は、決して間違ってはいなかった。
盲目の彼には見えなかったが、この大藪地大密林の、到る所に点々と、松火の火や篝火が燃え、人影が右往しまた左往し、小戦闘が行なわれているのであった。
飛天夜叉組が逃げ込んだ。それを追って鬼火の姥の組が、この地域へ入り込んだ。と、この地域にはそれ以前から、野武士や土兵や非人の群れが、職場のようにして住んでいたが、それが双方に加担した。
で、それらの者どもが小戦闘をしているのであった。
逆立った女の髪のような、大竹藪の裾を巡り、頼春はソロソロと歩いて行った。
と、突然五人の人影が、竹藪の蔭から走り出た。
「いた――ッ」
「いたいた!」
と頼春を見るや、五人のうちの幾人かが叫んだ。
「斬れ!」
「討ちとれ!」
殺到して来た。
「待て! ……いや、お待ちくだされい!」
驚きながら頼春は叫び、持っていた杖を差しつけて構えた。
「道ふみ迷った盲人でござる。